業者視点から見た「困った」不動産②

なかなか物件を売却できず、お困り物件になってしまう話はよく耳にします。

では、なぜそうなってしまうのか。

前回の「業者視点から見た「困った」不動産①」に続き、今回も不動産会社視点からみた、お客様には言えない本音の実情を書いていきたいと思います。
※すべての不動産業者の総意ではないので悪しからずご了承ください。

業者視点から見た「困った」不動産②

権利関係が複雑な物件
土地の所有者と建物の所有者が同じ場合、その人が「家を売る」と言ったとき何の問題もありません。
しかし、「借地権付き建物」など、土地の所有者と建物の所有者が異なる場合、たとえ家の所有者自身が「家を売りたい」と思っても、その行動を取るまでに家が建っている土地の所有者、つまり、地主の許可をもらわなければ家が売れないことになります。(※借地権の中でも「地上権」の場合は異なります。)

また、土地と建物が同一人物のものだったとしても、目の前の道路が私道で、その私道の持ち主が別の人物である場合には、私道の持ち主の許可がないと売りづらい物件となってしまいます。

他にも、
・土地と建物を何人かで共有している場合も、全員の同意がなければ売ることができない。
・境界の事で隣人と揉めている場合もそのままでは売ることができない。

など、このような物件は、売れる状態(=買手のニーズがある物件に整える)にするまでの手続きや交渉事が面倒で煩わしく、不動産会社の本音でいうと、できれば積極的には扱いたくない物件の類になります。


農地
市街化調整区域以外の地域にある田んぼや畑などの農地を販売するためには、原則として農業委員会の許可が必要になります。
そして、実はこの許可をとるための書類作成が面倒で、役所との調整も手間暇が掛かります。

また、売主・買主ともに農業委員会の審査を受けることが必要で、その審査での許可を得なければ双方ともに、売れない、買えないというシチュエーションを生んでしまうため、不動産会社にとっては煩わしい物件という印象になります。

その他にも「再建築不可物件」と言われる、いわゆる「建て替えをすることができない家」の場合も、そのままではなかなか買手が付かず(買手はわざわざ再建築できない物件を好みはしません)、買手が付くようにするために、「将来的に建て替えができるようにする」というプロセスには、専門家も交えながら何度も役所と交渉しなければできません。

実際の時間と労力の大きさが手数料と見合わないことが多いため、不動産会社としても荷が重い物件という印象があります。


地方の物件
※ここでいう「地方」とは、都会や街中にある不動産会社から見た地方のことなので、元々地方で営業している地元の不動産会社の場合はその限りでありません。

「田舎の実家を売りたい」と依頼した場合、営業エリアが都会の不動産会社にだとなかなか取り扱ってもらえない場合があります。
扱いたくない理由は、地方の物件は、都会・街方にある物件の価格帯に比べ価格が安くなっています。

「え?たったそれだけの理由で?」と思われるかもしれません。
ごもっともです。
というのも、これには物件調査や現地案内を仕事の主とする不動産業者だからこその感覚があるのです。


具体例を挙げてみてみましょう。


沖縄県那覇市で主に営業をしている不動産会社があるとします。
そこにある日、今帰仁村辺りの居住中の「一戸建て住宅」を専任媒介契約したとします。
まずは物件概要ひとつを作るために、現地写真の撮影周辺環境の調査物件所在地の役所窓口でも法制限の確認など、多岐渡る物件調査を行います。

一人で作業をした場合、2~3日は掛かるでしょう。

それが完成したら、不動産ポータルサイトへの登録
自社のホームページにも同じように広告宣伝を打ちます。
広告を打ったら内覧希望者が現れてきます。
内覧案内するために、住居人の都合の良い日時と、内覧希望者の日時を調整していきます。

日時が決まり内覧に行くのですが、那覇から今帰仁村の距離です。現地へ到着するのに裕に2時間は掛かります。
そこから、物件内覧時間は少なく見積もって1時間はかかります。
それが終わり、会社に戻るのにさらに2時間は掛かります。
合計約5時間が費やされるわけです。

もちろん、たった一度の内覧で購入者が決まることは、よっぽどの事がない限りありません。
そこから、毎回内覧希望者がいる限り、何回でも那覇と現地の往復を続け、案内し続けなければなりません。
内覧予定がある日は最低で5時間は固定されるので、他の日程を組むことができません。
つまり、この内覧案内が必然的に優先される、ということになります。

また、那覇と現地の往復交通経費も馬鹿になりません。
行き帰りのガソリン代を始め行き帰りの高速代金負担も大きくなります。
ただでさえ、物件価格が安い(=仲介手数料も安い)のに、売主に対して毎回の交通費も別途請求できるかどうか分かりません。(ほとんどの場合、嫌な顔をされるかと思います。笑)

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いかがでしたでしょうか?
もしも自分が依頼を受けた不動産会社だったとしたら。

自分達の会社から程近い、手馴れているエリアでの仕事と、
遠方田舎にある、手数料も安く、時間も経費も掛かる仕事。

どちらを選ぶでしょうか?


少々業者の本音を書きすぎたかもしれませんが、これらが「なかなか積極的に扱ってもらえない」→「なかなか売れない」物件になってしまう水面下にある事実なのです。もちろん、不動産会社はこのような本音は決して表にはしません。

不動産会社も決して善意でのボランティア活動をしているわけではないので、利益は大事です。
そもそも、利益がなければ会社を動かす社員だって確保ができないので、お客様の依頼に応えることだってできなくなります。

もちろん、売れにくい物件の要因はこれだけではありません。
様々な要因が複雑に絡んで、ひとつひとつの物件でストーリーが異なるものです。

ネームバリューや知人の紹介という理由だけでなく、

違うバックグラウンドをもつ物件の特徴をしっかりと理解し、
・解決案を打ち出す力
・交渉して現況を変えていく力
・買手に物件の魅力を伝えきることのできる営業力

これらの要素を備えた不動産会社を見定めていくことが、
自分の大事な資産を「売れない物件」にしないための大きな第一歩といえます。



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