心理的瑕疵のある賃貸物件~前編:ワケあり物件のホントのところ~

心理的瑕疵のある賃貸物件~前編:ワケあり物件のホントのところ~
2週連続で沖縄を襲った台風9号・10号。
猛烈な雨風が丸一日以上続き、家の中にいてもなかなか落ち着かなかった、という人も多かったことと思います。那覇市を始めとする多くの市町村でも停電が見られ、エアコンの効かない真夏の夜を過ごすのはさぞかし大変だったことでしょう。

暦上は9月に入り、秋のシーズンのスタートとなりましたが、沖縄はまだまだ夏場、台風のシーズンです。
いざという時に慌てないように、日頃から防災対策や避難経路を念頭に行動したいものですね。(という私も、台風前夜にスーパーに駆け込み、既に売り切れている総菜コーナーで肩を落とす一人です…。笑)

さて、そんな台風明けに配信する本日の結ブログは、「心理的瑕疵物件」についてです。



心理的瑕疵物件は、自殺や殺人事件等が発生したマンションや戸建て住宅等を指し、その理由から借手や買手が心理的・精神的に忌み嫌い、敬遠する物件のことです。

よく聞きなれている言葉で表現するならば、「ワケあり物件」と言った方がよりイメージしやすいかもしれません。

最近公開された映画、『事故物件 恐い間取り』やその原作の書籍がタイムリーに話題になっている分、
「ワケあり物件」
「事故物件」
「心理的瑕疵」

という言葉を耳にする機会も増えているかもしれません。

本日のブログでは、そのワケあり物件(ここでは心理的瑕疵物件と呼びます)について少しお話していきたいと思います。


心理的瑕疵物件の「定義」とは?
心理的瑕疵のある賃貸物件~前編:ワケあり物件のホントのところ~
実は、心理的瑕疵物件は法律や不動産業法で何か具体的な定義付けがされているものではありません。いうならば、その人その人の裁量によって、瑕疵物件にもなるし、ならないこともあるのです。

心理的瑕疵物件は、基本的にその部屋・家の入居者が亡くなったことのある物件を指します。もちろん、死因は様々ではありますが、大きく分けると「自殺」「他殺」「自然死」の3種類に分けられることが多いです。(入居者でない訪問者(赤の他人)が亡くなった場合など多様なケースがありますが、それはまた別の機会にお話致します。)

ただし、この3種類を一概に「事故物件」と取り扱うべきかというと、実は基準がとても曖昧なのです。

例えば、悲惨な殺人事件に遭い亡くなってしまったとするならば、しばらくの間は間違いなく事故物件扱いになるでしょう。しかし、かたやご家族で暮らしていた中ご高齢だったおばあ様が急に具合が悪くなって突然死してしまい、それがすぐに発見された場合は、寿命で亡くなるのは一般的なこととみなされ、事故物件と認定されない場合がほとんどです。

また、昨今テレビ番組や新聞等でもしばしば報じられている「孤独死」や「孤立死」も事故物件にカテゴリーされると言われています。
これは、現在の日本の社会情況と実に深い関係があります。


豊かな国における孤独な死
心理的瑕疵のある賃貸物件~前編:ワケあり物件のホントのところ~
日本国内の自殺者は年間2万人を超え、一時期は3万5千人近い人が自ら死を遂げなければならなかった、悲しく、複雑な社会環境があります。

また、時代が進むと共に核家族化も着実に進み、独居老人が多くなった都会では孤独死の機会も以前に比べて頻繁に発生するようになりました。

孤独死の多くがご高齢の一人暮らしであり、その中でも生活に困窮して生活保護を受けている人が少なくないのも現実です。これはある意味、現在の大都会の病理現象であるともいえましょう。

また、孤独死はご高齢の単身者が賃貸アパートにお一人で住まわれている場合が多く、その瞬間に近親者が看取れないままお一人で病死してしまうケースも増えてきています。近親者がいない場合は、物件を管理をしている賃貸業者が市役所への手続き、お寺での供養などを引き受けざるを得ないことだってあります。中には、そのまま誰もお骨を引き取りに来ないケースもあるそうです。

このような孤独死は、残念ながら今日の大都会や街ではよくあることであり、「心理的瑕疵という範疇に入らないのではないか」と考える不動産業者がいるのもまた事実です。明らかに事件性がなく自然死に近い形で亡くなったケースの場合、各管理会社や不動産仲介業者が事故物件と定めるかどうかを判断していることが多く、その際の判断基準の大半は「一般的に人が抱くマイナスの感情」が指標となります。

そして、考察の結果、「心理的瑕疵に入らない」と判断された場合には、新たな賃借人への案内時や契約時に事情を進んで告知しないケースもあります。(「告知義務」に関しては次回詳しくお話致します。)

冒頭でもお話した通り、事故物件の具体的な定義は法律では定められていません。しかし、一般の方が「事故物件」という存在を認知しているということ、その類の物件取引で告知義務を巡って争いが起こることがあること等を考慮すれば、少なくとも事故発生時から3年程は、重要事項説明に際して、告知・説明する必要があるのではないかと考えます。


知る人のいなくなった物件の過去
心理的瑕疵のある賃貸物件~前編:ワケあり物件のホントのところ~
事故物件を取り扱う不動産業者に、告知・説明する義務があるだろうかということをお話しましたが、これはあくまでも「不動産業者が、その‶物件の歴史〟を知っていること」が大前提です。

つまり、物件の所有者自身が不動産会社に対しても事件・事故の事実を伏せて業務を依頼していたり、所有者・管理会社・仲介業者も変更になった結果、過去に何があったかを誰も把握できていないケースもあります。

もちろん、所有者が事故や事件について意図的に申告せず取引を進めるのは告知義務違反に当たる行為であり、訴訟の対象になります。しかし、誰の悪意もないものの、誰も事実を把握できない物件になってしまい、告知以前にその過去すら知り得ないところまで進んだ物件は本当に厄介です。

大手の不動産会社は管理している賃貸物件が多い分、心理的瑕疵に値する物件事例に当たる確率も必然的に高まります。よって、ある程度マニュアル化して対応をしています。しかし実際の本音としては、殺人事件や自殺が絡んだ物件の仲介取引にはできるだけ関与したくないというのが人の常です。

入居者の立場を守ることもさることながら、物件の収入から生活をしている大家さんの立場も考えて募集活動をしなければならない不動産会社は、ある意味一番複雑な立場に立っていると言っても過言ではありません。

賃借人,賃貸人,仲介業者すべての立場を守るためにも、互い同士が誠意を持って告知し、やり取りをしていくことが一番大事だと言えます。

次回は、
心理的瑕疵物件に関する「告知義務」と、瑕疵物件への入居を避けるために必要な行動についてのお話です。


後編ブログ↓
心理的瑕疵のある賃貸物件~後編:告知義務の実態と、ワケあり物件の見分け方~


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