地主と賃借人の間に問題が多い「旧借地法」

問題やトラブルが多い背景には、現在には全く適正ではない「旧借地法」にあります。
「借地法」は、大正10年から平成4年までの約71年間続いた法律です。
この法律の特徴は、地主から土地を借りた借地人は、何十年毎に来る契約更新を続けることで、半永久的に契約を継続することが出来ました。

地主の立場からすると、戦後、間もなくは土地価格も安く土地を貸すことにより地代収入が入ってきたのでメリット十分はありました。 
しかし、高度経済成長期で土地価格が高騰します。すると事態は一変します。
土地価格に合わない割安地代でも賃借人の納得なくして値上げができません。しかも、半永久的に返って来ない借地となると地主の方は納得できません。
すると、借地契約は一斉に敬遠されるようになりました。そんな時代経緯を経て現在では、全国的に借地の新規供給量は大幅に減少してしまいました。

そこで平成4年に借地法等が廃止され、新しく借地借家法が制定されました。この法律は、これまでの借地人有利の内容とは全く変わって、賃貸人有利とも言える内容に変貌しました。借地契約期間の延長を拒める 定期借地権制度等が始まり、借地に関する法制度は賃貸人には大幅に改善されました。

しかし、法改正によりそれまで土地を借りていた方にとっては、不利になってしまう恐れがあった事から、平成4年8月時点で土地を借りていた借地人は(その相続人含む)、更新などの借地人に有利な事項に関しては、引き続き廃止された借地法が適用されることとなり、借地法は実質存在したまま現在に至ります。

借地権には、借地人にとって有利なメリットがいっぱいあります。「土地の固定資産税がかからない」「家屋を建てるのに土地を購入するより安く建てられる」「借地権付き建物として借地権を売却することも出来る」等々のメリットがありますが、一方、一定の行為について「地主の承諾が必要」と言う難解な登竜門が待ち構えています。

地主ともめると、「大幅な地代の値上げを迫られたり」「契約更新時に多額の更新料を要求されたり」「建て替えをしたい時高額な承諾料を求めだれたり」「借地権を売却したい時承諾しない」等々や突然、借地権の返還や解除を迫られたりする場合もあります。
借地権者と地主は、借地関係を巡って権利を主張し合う関係にあります。従って、地主とトラブルで泥沼化すれば、どうしようもない塩漬け状態になる場合があります。


現在、借地人は地主への期待と不安とが、地主には地主なりの借地人への期待と不安が常に抱えておられると推移されます。

借地人から地主への期待と不安と現実
1.地代を上げたいと言って来た。⇒応じなければならないのか?
2.「更新料を請求」されている。⇒払わなくてもいいと聞いたが。
3.契約期間が終わる。⇒更新はしない早急に返せよと言って来た。
4.建て替えたいが、地主は承諾しないと言う⇒どうすればいいのか?
5.借地権が相続問題になり遺産分割協議でトラブルになっている。
6.借地権は売る事が出来ると聞いているが、どのようにして売るか?
7.底地を買って欲しいと言われたが、銀行は貸してくれるか?
8.契約書も建物の権利書もなくしてしまった、売却できるか?


地主から借地人への期待と現実と不安
1.何十年も土地代を上げてない「上げると言うと供託する」と言って来た。
2.建物がある限り「借地は帰らない」と言われるが。何か方法はないか?
3.相続税を払うために「底地を処分したい」が、買う人がいるだろうか?
4.僅かな金額で建て替えの承諾を求めてきた、承諾料の相場はどの位か?
5.借地人が無断で増築している、契約違反だが契約解除できるか?
6.老朽化して長年人が住んでない場合、借地権は消滅すると聞くが?
7.借地権を売りたいと言って来た借地人が、権利証がないと言う。
8.地料が1年も支払われてない、契約解除できるか?

実際、借地権に関わる問題で、地主と借地権者の間には解決出来てない塩漬け問題やトラブルを抱えている方は沢山いらっしゃると思われます。

最近は、2015年に相続税制の改正があり、相続税の基礎控除が引き下げられました。
大きく変わった所は、基礎控除額です。
変更前の基礎控除額=5000万円+1000万円×法定相続人の数 でしたが、
変更後の基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数 になりました。
この変更で相続税を支払わなければならない人の範囲が広がったのです。






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