それでも大城さんはこの物件にお金を出して入居を決めたのです。その決断に至ったのは、大城さんが比較対象となる別の「相場」を知っていたからです。
実は大城さんは元々居抜き物件での開業予定はなく、一からお店を造り上げることを夢見ていました。そのため、最初に足を運んでいたのは何もないスケルトン店舗ばかりで、その中で気に入った物件の工事見積りを依頼したことがあったそうです。その時に彼は予想以上に膨らんだ数字を見て尻込みしてしまったのだそうです。(その数字は、大城さんが購入を決意した居抜き物件の約5倍だったそうです。)
その話を同業の友人にしたところ、大城さんは初めて「居抜き」という開店方法があることを知り、それからは積極的に居抜き物件を見て回りました。そして、今回の物件に辿り着いたのです。
大城さんが内覧したその日、不動産会社の担当者から「この後、同じ内覧希望の方4名ほど予約されています」という情報を聞いていた大城さんは、内覧途中でその居抜き物件の購入を即断しました。
居抜き物件購入後、大城さんがご自身で新たに購入したのは食器類と備品のみでした。什器類は譲渡されたもので十分間に合ったそうです。
そして、あのひどく汚れていた店内と厨房も一週間の時間をかけて徹底的に掃除をしました。壁を磨き、油でべとついた床も丁寧に洗い流しました。また、薄汚れたカウンターは少しだけ削って化粧合板を張り付ける手を加えたそうです。
開店から3年経った頃、大城さんは一身上の都合で店舗を移転することとなりました。そしてご自身のラーメン店をあの時と同じように居抜きで売却することを考えたのです。
その時に大城さんからご相談を受けたのが弊社でした。大城さんの希望により、売却予想より少しだけ高めに売り出し価格を設定し、売れない場合に頃合いを見て値下げをする計画でした。そうやって売り出し価格は250万円に設定されましたが、タイミング良く条件の合う購入希望者が現れ、なんと値引き無しの価格でそのまま譲渡する事が決まったのです。お店を売り出してから2ヶ月目の頃でした。
大城さんは、前の経営者からは何もない空店舗(スケルトン)状態から造作し、開店までにトータル800万円以上掛かったと聞いていたそうです。
対して大城さんは、その800万円が掛けられた物件を居抜きで安く購入することができたこともあり、借り入れ金がありませんでした。今回の譲渡は250万円。購入価格だった150万円を考えると、100万円のプラスが出たことになります。
そして、ビジネス街という恵まれた立地のおかげで3年間で350万円近く貯金する事ができたそうです。大城さんは譲渡契約が決まった時、次に新しい地で移転開業するお店も、やはり居抜き物件で出したいと笑顔でお話されていました。
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その後、お引っ越しが落ち着いたタイミングで居抜き物件で新たに開店された大城さんは、低コストで移転ができたと喜ばれていました。
大城さんのような好条件が揃う売買ケースは非常にまれで、彼はラッキーそのものだったといえます。
しかし、もしも彼が居抜き物件の存在自体を知らなければ・・・
足を運んだ居抜き店舗の汚れに億劫になっていたのなら・・・
これらすべての成功は起こらなかったわけです。
大城さんの成功ストーリーをおさらいしたポイントは以下の通りです。
居抜き物件は一点もの。待ったなし。
大城さんが居抜き物件の内覧中に即断で購入を決めたのは、居抜き物件は同じ条件のものが何一つとしてない一点ものと理解していたからです。大城さん曰く、本音をいうと汚れを目にした時に価格交渉も考えた、とのことですが、元々十分過ぎるほど安かった、その他に内覧希望者がいた、ということが彼の決断を早めたのです。
汚れや古さをカバーする利点に気付いた。
人は皆、きれいなものを良しとし、古く汚れたものを毛嫌います。しかし、その概念にとらわれたままでは居抜き物件の本当の良さには気付くことができません。大城さんは、「汚れは自分で落とせばいい。大事なのは自分ではどうにもできない、機材と立地条件である」と心得ていました。その結果、汚れに臆せずにきちんと機械類の稼働状態を確認したり、その物件が持つ条件に目を向けることができたのです。購入を決めた居抜き物件に関しても、ひとつひとつの厨房機器をチェックするとどれも開業時に当時のオーナーが新品購入で導入していたということもあり、汚れは目立っていたものの機械の動作に問題はありませんでした。
新規店舗に拘らず、居抜き店舗(中古物件)も視野に入れた。
元々はスケルトン店舗を探していた大城さんですが、自分の予算に背伸びをせず、中古である居抜き物件を視野にいれようとした柔軟さが結果的に吉と出ています。その時のことを大城さんは、「自分の夢だから煌びやかに叶えたかった。でも、大事なのはそのあと息の長いお店にすることが最優先だと思った」とお話されていました。実際に初期の運転資金を抑えることに成功した大城さんは、開業後の資金繰りにもゆとりが生まれ、早い段階から利益を生むお店になっていました。
大城さんにおいては、居抜き物件の活用が本人の予想以上の結果を生みました。
現在、独立開業で店舗をお探しの方へ。
一度、見てみるか、くらいのお気持ちで居抜き物件にも目を向けてみるのはいかがでしょうか?目を向けてみた結果、やはり違うと思えば、その時にスケルトン店舗で一から思い描くお店を造ればいいのです。
また、店終いで退去をどうしようかお悩みのオーナー様へ。
退去を急いでいる、家賃を払う気力がない、様々な理由で気持ちが億劫になることもあると思います。
しかし、居抜きでのお店の譲渡はダメで元々です。(元々、賃貸借契約上に「居抜きでの退去を認めます」と約束されているものはほぼ皆無です※これは近いうちにブログでお話にしたいと思います。)賃貸借契約上規定のないものは、家主との交渉次第ということになってきます。
お一人では難しい複雑な権利関係の交渉事も、何百件という居抜き物件を8年間専門で見てきた弊社であれば、微力ながらも何かお力になれるはずです。
店舗売却のご相談は、完全無料です。
お一人で迷われて時間だけが経過してしまう前に、一度、お気軽に弊社へご相談くださいませ。