地主からの突然の「地代値上げ通告」を受けた際の、
・法的義務
・注目すべきポイント
についてお話させて頂きました。
では今回は、
・実際に理由を提示されても納得ができなかった。
・このまま値上げされても、地代を払いたくない!
このような場合、借主(借地人)は一体どう対応するべきなのか、またその際に気を付けておきたいポイントも考えていきましょう。
■ケース1「値上げ理由に納得がいかない」
地主に理由を提示されたが、どうも納得がいかない。
面倒臭いから、と一度納得してしまったものを後で覆すのは至難の業です。このような場合は、誠意を持って地主さんと再度話合いの機会を持ちましょう。
その際は、
いつ、どのような内容を話し合ったかを記録しておくことも大事です。
反対をするにも、「とにかく値上げには反対だ!」といった根拠のない丸腰状態ではなく、
等の意見をまとめて、できるだけ建設的な話合いになるよう心掛けてください。
また、もし仮に地主からの値上げ交渉を断った場合に起こりうる可能性としては、地主が管轄の裁判所に地代の増額請求をすることも考えられます。その際は、地主側も不動産鑑定士が作成した地代調査報告書などの強い根拠を揃えていることが前提ではありますが、ここまでくると互いに感情も高ぶり、場合によっては嫌悪感が付いて回ることになります。できるだけこのような状況になる前に、互いの歩みどころを見つけるのが妥当といえます。
また、なかなか話合いがまとまらないからといって、
地代を払わない!となると、契約違反となりその契約自体が解除される恐れがあります。
■ケース2「このまま値上げされても、地代を払いたくない!」
値上げされるくらいなら地代は払わないぞ!
その先に待っているのは、違反による契約解除という結末で、もうその土地にいることすらできなくなります。
よって、頑なに地代を払わないというのは問題の解決にはなりません。
かといって、これまで通りの地代では地主が納得せず受け取ってもらえない・・・。
ではこのような場合はどうするべきなのか。
借地人は、ご自身が妥当だと納得する額(おそらく、これまで通りの金額になるかと思います)を法務局に持っていき
「供託(地代を預ける)」することで、
「値上げ額に納得はいかないくとも、これまで通り地代を払う意思はあります!」という姿勢を見せることがとても重要です。
この場合、借地人は地代を供託することで「地代を納めようとする行為」を行っていることになるので、
賃料を支払ったのと同様の効果が発生し、地代不払いを理由に契約が解除される事はありません。つまり、契約違反とはみなされず、それを理由に契約解除にはならないのです。その後、地代の金額の折り合いがつき問題が解消されれば、供託所(法務局)に預けられている地代の払い渡しを地主が請求するとこになります。
しかし、もしも地主が納得しない状況が続くと、一体どうなるのでしょうか。
■ドロ沼地代劇の結末にある未来地主が供託された額に納得がいかず事態が長引いた場合、法務局へ供託された地代が地主の元へ入ってくることはないので、地主は調停をはかるという法的手段を取ることになるでしょう。そしてその調停が不調になるとおそらくそのまま裁判と流れになります。
ここまでくると、地主からの反発がかなり強く出る恐れがあります。そうなると、借地人が考えなくてはならないのは今回の地上げ問題だけではなく、今後予想されるありとあらゆる可能性です。
今後、
・物件を売却する際の譲渡承諾
・建物を建て替えたい時の承諾
・抵当権を設定するための承諾
など、地主とは切っても切り離せない関係の承諾書関連の書類が全くもらえなくなるかもしれません。自分や家族とのライフプランにまで大きな支障が出てくる事態になってしまいます。
裁判は法的に有効かつ強力な手段です。しかし、問題自体は解消されても、その後の人間関係や信頼関係に大きなしこりを残すのも事実です。今後も地主との良好な関係を続けていきたいのであれば、裁判になることは極力避け、事態がこじれる前に第三者に相談・間に入ってもらう、等の処置のタイミングがとても重要になってきます。
地代の値上げ問題は、地主・借地人の双方にとって決して避けては通れない大きな問題です。しかし、最終的には地主も借地人も互いに人です。しっかりと誠意をもって話し合えば、必ずどこかで妥協地点が見つかります。
ご自身で抱えてドロ沼地代劇になる前に、ぜひ一度、現状をお聞かせください!
弊社で何かお力添えできることがあるか、一緒に考えてみましょう。
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